お子さんの乗り物酔い
予防と対策


 10〜11月は秋の行楽シーズン、家族そろって車で遠出する機会も増えます。そんなときに、お子さんが乗り物酔いでぐったりというのではせっかくの楽しい気分も台無しです。
 そこで、突然の事態にあわてないために、親御さんは乗り物酔いに関する知識を持っていた方がよいと思います。

【病状と原因】
乗り物酔い(動揺病)とは、船や自動車など、乗り物の揺れや加速度などによって引き起こされる不快な症状で、健康な人でも起こり得ます。具体的な症状は、吐き気がして、口の中にはやたらに唾液が出てきて、ひどい場合は、顔が青ざめ、冷や汗をかいたり、嘔吐したりします。

 発症のメカニズムは、内耳が感知する平衡感覚に関する情報と目が感じる視覚に関する情報が合致しないとき、脳の中で混乱が生じるために起こるとされています。
 また、乗り物の揺れが直接的な刺激となって、自律神経の失調状態を招き、睡眠不足や空腹、過食、車内の換気不良などで、脳の活動性が低下した場合にも起こりやすいといわれています。

 自分で車を運転される方は経験があると思いますが、自分が運転するときには乗り物酔いは生じませんが、後部座席で本を読んでいたりすると酔うことがあります。これは科学的には能動運動と受動運動のちがいで説明できます。わかりやすく言うと、行く方向がわかる場合は酔いにくく、受身の場合は酔いやすいということです。多くの人が船を苦手とする理由は、船の揺れはほとんど受動運動であることによります。ですから、バスに酔いやすい子どもを運転手の近くに座らせたり、バスの行く方向を意識させると酔わなくなることも受動運動と能動運動のちがいから証明できます。 

 そのほかの原因として、子どものバス酔いなどは、心理的な要因も大きく影響をしています。過去に乗り物酔いで嫌な思いをした経験や、ガソリンのにおいに苦手意識をもっていると、ますます酔いやすくなります。極端な場合では、乗り物のエンジン音を聞いただけで気分が悪くなる人もいます。

【予防と対策】
 乗り物酔いは、いったん起こってからではどんな薬を使ってもなかなか止められないので、予防が最も重要なポイントです。乗り物に酔いやすい子には、出発1時間前に酔い止め薬をのませておきましょう。緊張感を取り除き、吐き気を抑える効果があります。
 また、酔いやすい状態を避ける対策も大切です。乗る前日の夜は、十分な睡眠をとらせるようにしましょう。空腹だと酔いやすいので、朝食はきちんととってからでかけましょう。ただし、あまり満腹でも気分が悪くなりやすいので、食べ過ぎにも注意してください。

さらに、以下の食品や食事は、胃の中に留まる時間が長く、発酵しやすいために乗り物酔いの原因となりやすいといわれています。出発前や、車内ではとらないように注意してください。
ピザ、チーズ、ミルクの取り過ぎ、バナナ、さつまいも、すいか、甘いケーキ・カステラ類、砂糖入り紅茶・コーヒー、アンパン、ジャムパン、クリームパン、チーズパン、コーラ・炭酸飲料、てんぷら(特にころも)、スナック菓子、チョコレート、ゆで卵などです。これらの食品は乗り物に酔いやすい子がとると、むかむか感を招きやすい食品ですので、できれば避けた方がいいでしょう。

 大人も、乗る直前や乗り物内での飲酒は避けた方がよいでしょう。なるべく進行方向や遠くの景色を見ているように心がけ、楽しい話題で誰かとおしゃべりしたり、好きな音楽をきいてリラックスしたりすることも予防として効果的です。車の場合は、車内の換気にも注意を払ってください。

 もし、乗り物酔いを起こしたときの応急処置として、車に乗っているときは、できれば車を止めて降り、しばらく休ませてください。そのとき、目を閉じさせ、衣服をゆるめて、寒くならない程度に涼しい空気にふれさせてください。吐き気があるときは吐かせてください。市販のメンソール入り湿布剤があれば胃の部分に貼ると楽になります。アイスボックスなどに氷のかけらを用意しておき、5〜10分に1個ずつぐらいなめさせることも効果的です。

 乗り物酔いは、男のお子さんより女のお子さんに起こります。特に、学童期の10歳前後に最も起こりやすく、成長とともに症状は改善していきます。お子さんが酔いやすいからといって、ご心配される必要はありません。成長の一貫と思って、神経質にならずに見守ってあげてください。