最近、いびきの相談に来院される患者さんが増えています。それは、いびきの原因となる肥満体格の人が増えたことのほかに、いびきが引き起こすいろいろな悪影響(自分だけでなく家族や他人に対しても)が一般社会でも知られるようになり、いい睡眠(いわゆる安眠)を切望する人が多くなってきたことが最大の理由だと思います。おとな、子どもを問わず、睡眠の質を高めることは、バランスよい食事や適度な運動などと同様に健康づくりの基本です。
 いびきの主な原因は、鼻腔から喉頭までの空気の通り道、「上気道」とよばれる部分のどこかが、何らかの理由で狭められたことにあります。上気道が狭められると、呼吸をした時の空気抵抗が大きくなり、粘膜や分泌物が振動してしまうのです。この振動音こそがいびきの正体なのです。

いびきをかきやすい人にはいくつかの特徴があります。
(1)肥満体型の人:近年はグルメ志向などで肥満気味の人が増えています。それが原因でいびきをかく人も増加しています。このタイプは、まずダイエットすることがいびきを改善する基本です。

(2)下あごが小さい人、下あごが後退している人:仰向けに寝た時に舌がのどの奥に沈み込む確率が高くなります。これが、気道を狭くする原因になります。

(3)首が太くて短い人:肥満体型と同じで気道に脂肪がついていることが多いため、いびきをかきやすくなります。

(4)アデノイド、扁桃腺が肥大している人:外見からはわかりません。子どものいびきの場合には、これが原因のことがよくあります。

(5)口蓋垂の長い人:俗称「のどちんこ」とよばれています。

(6)鼻筋が曲がっている人、だんご鼻の人:鼻筋が曲がっている鼻中隔湾曲症や慢性副鼻腔炎(いわゆる蓄膿症)などの鼻疾患のある人、だんご鼻の人などは十分な鼻呼吸ができず、鼻腔で強い抵抗が起こり、鼻翼が振動していびきになります。


いびきののなかでも特に注意を要するタイプがあります。
(1)音がときどき止まるいびき:
グーグー、ガーガーとさっきまでいびきをかいていたのに、ピタッと突然やんでしまい、静かになってほっとしていると、しばらくして急に爆発するような轟音で再開されるいびきです。実は、いびきがやんでいる間は、呼吸そのものが止まっているのです。この病態が一晩に何回も反復しておこる病気を「睡眠時無呼吸症候群」といいます。

(2)大いびきや、かき続けているいびき:
このようないびきは、体にかかる負担も大きく、特に心臓に大きな負担を強いています。これらのタイプの人は、朝起きた時に、ひどく疲労感を覚えます。

(3)子どものいびき:
特に、小学生以下の小児が習慣的にいびきををかく場合は、「睡眠時無呼吸症候群」の可能性があります。小児の睡眠時無呼吸症候群の場合は、睡眠中に体の各部位に酸素が十分行き渡らないことから、成長不良や知能の低下なども起こしやすく、ひどい時は小児突然死にいたる心配もあります。

(4)突然かき始めたいびき:今までいびきをかかなかった人が急にいびきをかくようになった時には、注意が必要です。体に何か変調をきたしていることが疑われます。例えば、脳溢血で倒れた人が大いびきをかいて寝ている症例は、ご存知の方も多いのではないしょうか。老化によってもいびきをかくことがありますが、お年寄りがいびきをかくようになってからボケ始めたという場合もあるようです。

いびきをかいて寝ている人をみると、豪快でさぞ心地よく寝ていると思いがちですが、実は健康の面から言えば、問題を含んでいることを忘れないで下さい。